裁判所の調停委員が仲裁役として関与する債務整理手続きで、いわば裁判所を利用した任意整理と言えます。 裁判所の手続きなので、任意整理と違って裁判所に出向く必要があります。 調停委員の仲裁のもと、債権者との話し合いで返済条件(月々の返済額及び返済期間)を決めますが、通常は、利息制限法に基づく引き直し計算後の元本のみを、無利息で2~3年で返済する案で調整されます。 3年以内で返済できるような返済計画が組めるかどうかが調停成立の目安となりますので、3年超かかる場合には和解が難しくなる可能性があり、自己破産を検討する必要が出てきます。
・自分で手続きを進めることができるので、代理人報酬が節約できる。
・自分で債権者と交渉するのではなく、調停委員が仲裁・交渉をしてくれる。
・債権者を選んで、一部の債権者とのみ交渉できる。
・借金総額と毎月の返済額を圧縮できる。
・大きな資産(不動産・車等)を手放さなくても済む。
・管轄地が違う債権者が多数あっても一括の申し立てで処理できる。
・給料差押などの強制執行に対し、担保を提供しなくても停止が可能な場合がある。
・相手方債権者が合意しなければ、調停が成立しない可能性がある。
・いったん成立した調停調書は、判決と同じように「債務名義」となるので、返済を怠ると強制執行される。
・信用情報機関に登録されるため、数年間は新たな借金やクレジットカードを作ることができない。
Q,特定調停はどんな制度なのですか?
A,簡単にいえば、簡易裁判所を利用した任意整理です。 利息制限法を適用し、再計算して借金を少なくします。 債務を返していくことが前提となりますので、一定の収入がある人が対象となります。再計算後の債務を3年で返済できるかどうかが目安となります。
Q,特定調停は本人でもできますか?
A,裁判所が債権者との間に入って交渉してくれるため、ご本人でも手続き可能です。また、申し立て自体も難しくありません。
Q,特定調停をするとどのくらい借金が減りますか?
A,利息を18%以上とっている業者であれば、利息制限法に引き直しますので、2~3割ほど借金が減ることが多いです。 業者と5年以上の取引があるようであれば、大幅に減ることが期待できます。
ただし、特定調停では過払い金が発生していても、その回収まではできませんので、特定調停とは別に過払い金返還請求(不当利得返還請求)訴訟を起こす必要があります。
Q,特定調停の申し立てをすると取立ては止まりますか?
A,特定調停の申し立てを裁判所が受理したという証明書を債権者に送付すると、取立ては止まります。
Q,特定調停は不成立になる場合もありますか?
A,特定調停を申立てても、強硬に和解を拒む貸金業者や裁判所に出頭すらしない業者もいます。そのような場合には、調停不成立として終了となるか、裁判所が民事調停法17条による決定(通称“17条決定”)をするかになります。“17条決定”とは調停が成立する見込みがない場合に、裁判所が申立ての趣旨に反し
ない範囲内で、職権で行なう決定です。ただし、業者から異議が出れば17条決定の効力は失われます。調停が不成立として終了したり、17条決定がされたにもかかわらず、異議によりその効力が失われた場合は、任意整理等の別の手段を検討する必要があります。
Q,保証人の返済義務に影響はありますか?
A,特定調停をしても保証人は従来通りの返済義務があります。 よって、保証人も返せないようであれば保証人も一緒に債務整理することを検討する必要があります。
ただし、特定調停は債権者を選べますので、保証人付きのものをはずすこともできます。
Q,税金も特定調停の対象ですか?
A,税金・国民健康保険料・社会保険料などは対象とはなりません。
Q,ギャンブルや浪費が原因でも特定調停を利用することができますか?
A,自己破産の場合には、浪費やギャンブルは免責不許可事由となりますが、特定調停では借金の原因を問わず手続きが可能です。
Q,特定調停の手続にはどのくらいの時間がかかりますか?
A,裁判所にもよりますが、おおよそ2~3ヶ月ですので自己破産や個人民事再生と比べても比較的早く解決します。