任意整理とは

弁護士・司法書士が裁判所を介さずに各債権者と個別に交渉を行い、利息制限法にもとづいて再計算した債務の残額を分割で支払っていく手続きが、「任意整理」。
任意の手続きですから、誰にも知られずに手続きを進めるのに最も適した手続きです。
弁護士・認定司法書士に依頼をすると、「受任通知」(債務整理の依頼を受けたという通知)という書面を債権者宛に送付します。受任通知を受け取った債権者への返済は一時的に留保されますし、取立ても一切ストップします。借金返済に追われることのない落ち着いた状況で、返済計画を検討することができます。
任意整理手続きは、各債権者から取引履歴の開示を求めることから始まります。その取引履歴をもとに利息制限法に基づいて利息を再計算し、払いすぎた利息は元本に充当するように処理します。
債務調査元本への充当をしてもなお余剰がでた場合、払い過ぎていた部分は「過払い金」として返還請求ができます。 再計算により法律上支払うべき債務額が確定した段階で、毎月のお支払い可能な金額に応じて分割和解案を作成し、債権者と和解交渉に入ります。 返済不能が確実で自己破産を検討されている方も、債権者とのお取引がある程度の期間がある場合には、利息制限法に基づいた再計算による債務調査をすることで、自己破産をせずに済む可能性もあります。 保証人がついている借入れや、住宅ローンや車のローンなど、整理の対象としたくないものがある場合は、それらを外して債務整理することができます。生活再建にもっとも適した手段です。

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任意整理の結果

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任意整理のメリット

・貸金業者の取立てが止まります。
・破産者名簿に載ることがない。
・債務額の減額が期待できる。
・過払い金が発生しているときは、返還請求することができる。
・和解後の利息(将来利息)は免除され、無利息での分割返済となる。
・債権者を選んで、一部の債権者とのみ交渉できる。

任意整理のデメリット

・債権者の合意が得られなければ手続きが進められない。
・低金利の借り入れの場合や取引期間が短い場合は、負債の減額が望めない。
・信用情報機関に事故登録される(いわゆる“ブラックリスト”に登録)ため5~7年ほどは新たな借入れやクレジットカードを作ることができない。
・返済期間は3~5年(36~60回の分割)とされているので、それを超える返済計画は合意を得にくい。

任意整理の報酬
債権者1社あたり2万~5万円(着手金+成功報酬) 元金と和解金額との差額の1~2割相当(減額報酬) 過払い額の2割~5割相当 ※弁護士事務所・司法書士事務所のホームページ゙参考 任意整理にかかる費用は、弁護士・司法書士事務所によって様々です。大切なのは、依頼者の現状を理解し、支払方法を柔軟に対応してくれて、料金体系が明確な所が良いでしょう。

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よくある質問Q&A

Q,自分一人で任意整理はできますか?
A,任意整理や過払い金返還請求は、理論上、司法書士・弁護士でなくても、債務者本人が自分でできます。 しかし、現実的には、本人宛てに取引履歴をなかなか出してもらえなかったり、みなし弁済・時効等の様々な主張をしてきて手続きが難航する場合が多々あります。本人の法律知識の乏しさを突いて、不適切な対応をする悪質な債権者もいます。 したがって、結局、法律の専門家である司法書士や弁護士に依頼した方が解決への時間も手間も最小限で抑えられるケースが多いです。 また、債務の減額交渉、分割払い交渉や過払い金返還交渉の過程では、本人ではうまく交渉が進められない場合も多いので、結果的に司法書士や弁護士に報酬を払っても金額的にメリットが多い場合も多いです。
Q,一部の債権者に対してだけ任意整理することは可能ですか?
A,任意整理のメリットの一つとして、一部の債権者だけに対して手続きを進めることができるという柔軟性にあります。 これは、裁判所主導の法的整理であるため全債権者に対して手続きをしなければならない民事再生や自己破産手続きと異なる点です。 したがって、本来はすべての債権者に対して任意整理をする方が生活再建への近道になる場合が多いですが、債務者の個々の事情により、一部の債権者に対してのみ任意整理をすることも可能です。 これをうまく利用して、信用情報機関に載ってしまう(“ブラック”になってしまう)ことを防ぐために、1社ずつ完済してから過払い金返還交渉で金銭を取り戻し、その返還額を他の債権者への完済の原資に充てるという作業で、1社ずつ債務を整理していくというテクニックもあります。

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よくある質問Q&A

Q,借金を整理できるのにどの位期間がかかりますか?
A,借金整理に要する日数ですが、これは様々な要因により、短期間ですべての債権者と和解ができるのか、長期化するのかが変わってきます。 たとえば、最終的に分割払いによる和解になるのか、借金無しとする“ゼロ和解”になるのか、過払い金の返還請求になるのか、によりかわってきます。 過払い金返還請求も、利息を含めた全額の取り戻しをとことん狙うのであれば、過払い金返還請求の訴訟提起まで行いますので、期間はやや長期化する可能性があります。 また、債権者である金融業者の対応によっても左右されますので、一概には言えませんが、早ければ1か月くらいで和解がまとまる場合も中にはあります。 一般的には、早く和解できる債権者と交渉が長期化する債権者とが混在していますので、すべての任意整理が和解等でまとまるには、通常3~6ヵ月くらいみておかれた方がいいでしょう。
Q,任意整理の流れを教えてください。
A,任意整理手続きの大まかな流れは、以下のようになります。
・ 債務整理のご依頼を正式にした段階で、すぐに各債権者に“受任通知”を発送します。
・受任通知発送後、各債権者から取引履歴が送られてくるのには、およそ3週間~1ヶ月前後かかります。
・取引履歴に基づいて、法定利息に再計算し、法律上の返済義務のある債務額を算出します。
・再計算した結果をもとに、依頼人の収入や弁済可能額等を考慮の上、毎月の返済計画を作成します。
・返済計画をもとに、各債権者と一括返済、分割返済、過払い金返還等の交渉をします。交渉が難航した場合などは、調停や訴訟手続きに入ることもあります。
・交渉や調停・訴訟の結果、各債権者と合意ができれば、それぞれ和解書を取り交わします。
・和解書に基づいて、毎月の返済を支払っていきます。
Q,契約書等の資料がなくても任意整理や過払い請求はできますか?
A,借入開始当初の契約書や返済計画表、領収書、カード等を紛失してしまっても、手続きに支障はありません。
Q,借入期間が短くても任意整理する意味はありますか?
A,借入期間が数年程度ですと、任意整理(債務整理)で利息の再計算をしても、借金の大幅な減額や過払い金の発生が見込めない場合があります。 では、この場合、任意整理すること自体無意味かというと、そうではありません。 任意整理手続きを開始すると、現時点での法律上の支払義務のある負債額(残債務)を確定することができ、この金額を今後3年程度(最長でも5年程度)でどう分割返済していくかという分割返済の和解交渉になります。 そして、この確定した負債額には将来の利息がつきません。 つまり、再計算後の確定した負債額が仮に50万円であるとすれば、その50万円のみを36~60回程度で分割返済していく返済案を各債権者に提示して和解交渉に臨むことになりますので、任意整理をせずに、今までどおり利息付きで借金返済をしていくよりも、ずっと生活再建への近道になります。 和解に基づく返済計画にしたがって返済を続けていく限りにおいては、負債額が膨らむということが絶対にありませんから、借金を確実に減らしていくことができます。 任意整理(債務整理)のメリットは、この部分だけでも大きい場合があるのです。
Q,債務整理をすると保証人に請求がいってしまいますか?
A,司法書士・弁護士が債務整理手続きを受任した旨の“受任通知”を送付すると、債権者は本人に対して請求することができなくなりますので、代わりに保証人に請求をします。 したがって、保証人が付いている借金の場合には、あらかじめ保証人に事情を説明し、場合によっては保証人と連携し同時に債務整理手続きを進める必要があります。
Q,過去に切り替えや完済をしていますが、通算して利息の再計算できますか?
A,借入期間の途中で契約やカードの切り替えがあった場合、あるいは完済をしていた場合、すべての取引期間を通算して法定利息による引き直し計算ができるかについては、個々の事案を検討する必要があります。 借入継続中に契約を切り替えたり、カードを作り直したり等一連の取引と解釈できるようなケースであれば、通算して再計算が可能です。 しかし、一度完済して数年間借入が全く無かった後、また借入を再開したケース等では、一連の取引とみなされず、業者側からの過払い金返還義務の消滅時効の主張が認められる場合があります。 つまり、一連の取引(一つの借入)とみれるか?どうか?が大きな焦点となっています。
Q,完済後に取引履歴の開示請求は可能ですか?
A,平成17年7月19日の最高裁判決で、貸金業者は「すべての取引履歴」を開示する法的義務があることが明確に認められました。 したがって、消費者金融やクレジット会社等の貸金業者は、完済後であっても、原則として保存してある取引履歴の開示請求に応じます。 完済して取引が終了しているからといっても、あきらめずに司法書士・弁護士へ是非ご相談してみて下さい。 ただし、貸金業者によっては、データを破棄して保存されていないとの理由で古い取引履歴部分の開示に応じないこともあります。 この場合、取引履歴の非開示を貸金業の登録をしている財務局や都道府県庁に申告する方法、もしくは取引履歴が分からないままに、訴訟を提起してしまうという方法もあります。 その場合には、記憶に基づいて適当に取引履歴を推定して訴訟提起し、 訴訟の中で取引履歴の提出を求めることも可能です。 資料の有無にかかわらず、まずは各債権者に対し、取引履歴の開示請求をしますので、本人の手元に資料がなくても基本的に問題はありません。 ただし、取引期間が7~8年以上の長期間に及ぶ場合、債権者側が保存期間の徒過を理由にすべての取引履歴を開示してこないケースがあります。この場合、借入開始当初の契約書は、取引開始日時を特定・証明する上で強力な証拠にはなりますので、有るに越したことはありません。
Q,住宅ローンを任意整理することはできますか?
A,住宅ローンの金利は、ノンバンクの無担保ローンと比べて圧倒的に低利で、利息制限法の範囲内ですので、司法書士・弁護士が介入しての任意整理は難しいです。 住宅ローンの返済が滞ると、金融機関は担保権を実行する恐れがありますので、住宅を残しての任意整理は難しいですが、金融機関によっては、月々の返済額や返済期間の見直しをしてくれる場合もあります。 この場合は、個人民事再生の住宅ローン特則を利用するのがよいでしょう。
Q,自動車ローンがある場合に任意整理することはできますか?
A,ローンは、所有権留保の特約があるため、その支払いが終わるまでローン会社が自動車の所有権を持っています。したがって任意整理をしようとするとローン会社が車を引き上げますので、車を残すことは難しいです。任意整理は債権者を選択することができますので、自動車ローン以外の債権者に対して任意整理をし、自動車ローンは従来どおり返済を続けるという方法を取る必要があるかもしれません。
Q,ギャンブルや浪費が原因の借金でも任意整理することができますか?
A,任意整理は、自己破産とは違い多重債務の原因・経緯を問いませんので、浪費やギャンブル等が理由であっても手続き上の問題は全くありません。
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